相場が下がってもへっちゃら〜資産運用で狙うべきたった1つの数字とは〜
資産運用で狙うべきたった1つの数字とは?
「資産運用、やってみたい」
「損することもあるんだよね?」
「実は投資で損をしたことがあるからもう嫌だ。」
「何を買ったらいいのかわからない」
「いつ買ったらいいの? いつ売ったらいいの?」
このように思われている方は多いのではないでしょうか。
しかし、たった1つの数字にフォーカスするだけで、
これらの悩みはかなり軽減できます。
また、その1つのことを念頭に置くだけで、
下落している相場で慌てなくなります。
※この章は、「資産運用は損をするリスクがある」という定義をご理解頂いた人向けに書かせて頂いております。「一切損をしたくない」という方は、資産運用はしないことをお勧めします。この章も読む必要はありません。
そのたった1つのこととは
平均値を取る
ということです。
そして、平均値を取るために必要な3つのプロセスが
資産分散、時間分散、長期投資
です。
それではお話を進めていきます。
時間分散、長期投資で平均値を狙う
「時間分散」とは投資するタイミングを、毎月、毎週、毎日のようにわけることです。
「長期投資」とはその名の通り、長く運用することです。
「時間分散」と「長期投資」を両立することで、買い付け価格は平均化されていきます。
まず、このチャートご覧下さい。
縦軸:価格
横軸:年
毎年上下を繰り返しながら、長期では上昇している「右肩上がりのチャート」です。
初めからこのように動くことを想定して大きな金額を投資できる人は、なかなかいません。
相当なセンスと勇気が必要です。
一方で、毎年、毎月、毎日コツコツ投資を行うことで、買った価格をならしていき、
平均値で投資することは、可能です。
これが、多くの専門家が「積み立て投資」を推奨している理由です。
実際に、私も積み立て投資はしています。経験上、株に数十万、数百万円を「えいや!」と投資するよりも、数千円から数万円ずつ投資する積み立て投資の方がストレスがかかりません。よく株式投資を始めると、「相場が気になって仕事に集中できない」という意見を聞きます。しかし、積み立て投資であればお仕事に支障はでないと思います。
それでは、他の形のチャートも見てみましょう。
縦軸:価格
横軸:年
上下を繰り返しているこのチャート、よく見ると1年目より7年目の方が価格が下がってますよね。
1年目に男気を見せて「えいや!」と大金を投じていたら、7年間も運用しているのに損をしているわけです。
しかし、時間分散、長期投資により平均値(オレンジのライン)をとっていれば、利益になっているわけです。
投資の世界は男気なんて見せない方が良いのです。カッコつける必要はありません。
資産分散の効果
次は「右肩下りのチャート」を見てみましょう。
縦軸:価格
横軸:年
「あれ?ダメじゃん!!」
その通りです。
そう、こうなることがあるんです。
しかし落ち着いて下さい。
ここまで見た3つの投資対象、
1つ目の「右肩上がりのチャート」⤴️
2つ目の「上下繰り返しのチャート」⇅
3つ目の「右肩下がりのチャート」⤵︎
何戦何勝でしたか?
そう、3戦2勝です。
だから資産分散が有効なのです。
投資対象を分散しないで、もし、右肩下がりの投資対象だけに投資していたらと思うとゾッとしますよね。
時間分散と長期投資により3戦3勝を目指す
資産分散が有効とはいったものの、もし1つの負けが、他の2つの利益を超える金額だったらまずいですよね。
できれば3戦3勝といきたいところです。
実はさっきの「右肩下がりのチャート」に続きがあり、
下げ続けたあと8年目に上昇したら3戦3勝になります。
縦軸:価格
横軸:年
「ええ!? ずるい!!」
「こんな都合良くいくか?」
このように思われたのではないでしょうか。
実際にマーケットではこのようなことがおきることがあります。
例えば、バブル崩壊からいまだにその時の高値を超えない日経平均株価。
日経平均株価は下記のようなチャートを描いています。
※©️日本経済新聞社
※縦軸:価格、横軸:年
1989年のバブルのピーク38,915円から下がり続け、最近は少しは上昇したかな?という程度です。それでも、毎年の年末に投資していると、1989年〜2018年の30年間の投資はしっかりプラスになっています。
時間分散、長期投資はバブル崩壊すらも乗り切ったということです。
日経平均株価は、結果オーライになりましたが、これはあくまで結果論です。
もし仮に、時間分散、長期投資に加え、資産分散も実行するために海外の株式市場にも投資していたらは効果があったのかどうか、それを見ていきます。
資産分散は効果があったのか
結果オーライではあったものの、先ほどお見せした日経平均株価のような右肩下がりのチャート描いたら不安ですよね。
海外の株式チャートがどのようなものを描いていたか見てみます。
まずは、
世界の経済の中心アメリカの代表的株式指数:NYダウ
平均の線を引くまでもなく、30年間長期投資をしていれば儲かってますね。
2000年〜2012年の間は上下繰り返しの相場になっていますが、その期間を乗り切り長期投資を続けていた方は、リターンを得られているわけです。
続いてヨーロッパの優等生ドイツのDAX指数
アメリカのNYダウ同様、2000年代の初めの約13年間を根気強く乗り切った方は利益を得られています。
そして、
新興国の代表格の国、BRICsのインドのNifty
90年代の我慢の時期を乗り越えれば、長期投資だとリターンになっていますね。
私は証券会社で、2007年ごろ、インド株ファンドを販売していました。
その時でもお客様や仲間と「もうかなり高値だよね。もっと上がるのかな〜?」と話していました。ご覧の通り、2007年ごろに投資をスタートしても、十分にリターンが得られています。
上記のような、上昇する市場の動きを予測することは難しいことですが、
積み立て投資によって、「平均値」を取ることは、誰にでもできたことです。
ここまでの説明を軽くまとめておきます。
・時間分散、長期投資により平均値を狙う。
・資産分散により全敗リスクを避ける。
・粘り強く投資することで「負け」が「勝ち」に転じることがある。
積み立て投資の利点
実は、コツコツ積み立て投資を行うと、
投資家の「平均投資単価」は「投資対象の値動きの平均値」よりも低くすることができます。
「は? 言葉が難しくて意味がわからない。」
と思われた方も、ゆっくり読んでついてきて下さい。
どういうことか、例をあげてみます。
例題:投資信託A(高値20円〜安値5円)に4回に分けて10円ずつ、合計40円投資する。
1口あたりの価格と購入口数
1回目:投資金額10円÷価格10円=購入口数 1口
2回目:投資金額10円÷価格20円=購入口数 0.5口
3回目:投資金額10円÷価格5円=購入口数 2口
4回目:投資金額10円÷価格10円=購入口数 1口
合計:口数4.5口
値動きの平均値:価格(10円+20円+5円+10円)÷4回=11.25円
平均投資単価:投資金額40円÷保有口数4.5口=8.88..円
これを図にすると下記のようになります。
投資信託Aの価格の動きと、10円ずつ買付けた口数の推移
縦軸:価格
横軸:回
投資金額を一定にすることで
- 上がった時は少ししか買えない
- 下がった時はたくさん買える
という効果が生じ、「平均投資単価」は「投資対象の値動きの平均値」よりも低くなるわけです。
投資家は平均投資単価よりも投資対象が高い価格をつけている時に売れば利益が得られるわけです。
さらに言えば、
投資対象が先ほどお見せした海外の株のようにぐんぐん上昇していなくても、価格が長期の平均値程度の価格をつけていれば、投資家は利益を得られるわけです。(赤いラインと、オレンジのラインの差が利益になる。利益が得易い。)
リーマンショックの大暴落時は平均投資単価を下げるチャンスだった!?
2008年の秋に起きたリーマンショックの時は、世界中の株式指数が下落しました。日経平均株価に関しては、2008年の8月に13,000円を超えていた価格は、同年10月に7,000円を割れる水準まで下落したのです。当然、1989年〜2008年ごろまでの20年間の平均値を下回ってしまいました。しかしそのような時こそ、投資家は平均投資単価を下げる良い機会となりました。例えば、2万円のお金を2回に分けて1万円ずつ、日経平均株価の連動ファンドに投資する場合、買付け数量は下記のようになります。
日経平均株価が10,000円の時、買付口数:1万円(投資金額)÷10,000(単価)=1(数量)
日経平均株価が7,000円の時、買付口数:1万円(投資金額)÷7,000(単価)=1.42(数量)
10,000と7,000で10,000円ずつ(合計20,000円)投資した場合の平均単価20,000÷(1+1.42)=8,264円
ここでポイントとなるのが、平均値が10,000と7,000の中間値の8,500ではないということです。価格が安い時の方が、同じ金額で多くの数量を買えるので、平均投資単価を下げる効果があるのです。下げた時に、「同じ金額でいっぱい買えるじゃん」と思える投資家と、「下がってきたー。もうだめだ。」と思ってしまう投資家で、将来の命運を分けることもあります。前者のように前向きに考えられる人というのは、追加投資資金に余裕がある人ですよね。だから、時間とお金に余裕を持つコツコツ積み立て投資が有効なのです。
いつ投資を始めるか
このテーマは誰もが悩むことです。
先ほどチャートをお見せした海外株式のように相場がどんどん上昇するのであれば、早く投資した方が良いです。
一方、今後リーマンショックや、世界恐慌が起きるのであれば投資はまだスタートしない方が良いわけです。
日経平均株価への投資のように「20年以上低迷が続き、30年の投資でやっとリターンになる」といったような我慢の相場になることもあるわけです。
先ほど、時間とお金に余裕を持つ積み立て投資は有利だと言うお話をしました。
20歳の方は、すぐに30歳になってしまいますし、
50歳の方は、油断すると還暦が目前に迫ってきます。
時間は限られています。
お金は後になればなるほど、溜まるかもしれません。
しかし、時間は刻一刻と減っているのです。
いつ投資をスタートするのがベストか、
それは未来にならないとわかりません。
しかし、投資を始めた人と、そうでない人の明確な差は必ず生じます。
それは経験値です。
60歳、70歳の時に投資のビギナーとしての自分、
「さっぱりわからん。」
投資家としてベテランの自分
「もう負けないぞ」
どちらの自分になりたいかを考えてスタートをされるのが良いと思います。
私は煽り立てるつもりはありません。
ちなみに、資産運用は実際に資金を投じないで見ているだけではなかなか学びになりません。
計算問題の答えを何度見ても、実際に計算をしないと計算力がつかないことと同じです。
投資は実際にやってみて初めて肌感覚が掴めます。
金融の世界には、投資アドバイザーとしてのベテランブローカーがたくさんいますが、
彼らの中には自分のお金は投じておらず投資家としては初心者というケースが多々あります。
お客様には投資を勧誘していたにも関わらず、ブローカーを退職して、投資家になった途端に判断力がないので投資に全く踏み出せないというケースは多々あります。
また、
「お金が溜まってから投資をスタートしたい。」
「自分にはまだまだ10年早い」
と思われている人も多いと思います。
しかし、こうしている間にも時間は減ってます。
そういった方に私がお勧めしているのは、
「超少額で良いから徐々にスタートする」
ことです。
例えば、ネット証券会社であれば100円程度から投資信託の積み立てができます。
変動が怖い方は「毎月100円」くらいから初めてみてはいかがでしょうか。
やってみたらお気づきになることも多いかと思います。
例えば、
- 投資金額が上がったり下がったりする感じは体験できた
- 100円では金額が小さすぎて資産にならない
- 毎月だと買う日がたまたま下がってないと安く買えない
- 損得はともかく、積み立てをしている分、貯蓄癖がついた
このような発見も出てくると思います。
このように、投資を初めてみることで、
「積み立ても良いけど、もっとまとまった金額で株も勉強してみたいな。」
「自分で相場をみて、いろいろ投資してみようかな。」
と学習意欲が高まる方は多数いらっしゃいます。
投資を始めると、政治経済、歴史、数学など、勉強の興味も湧いてきます。
ただ闇雲に貯蓄をするよりも、お金を貯めることに対するモチベーションも維持できるのではないでしょうか。
投資は積み重ね
勉強、スポーツ、健康において、毎日の積み重ねが重要であることは言うまでもありません。
子供が「簡単に全国模試で1番になる方法を知りたい」と言い出したら、皆さん教えますよね。
「そんな簡単な方法はない。努力しなさい。継続は力なり。」
投資、資産形成の世界も同じです。
長い年月をかけてコツコツ投資を行うことで、やっていない人とかなり差が生じてきます。
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