コロナ陽性で休業した時の保険金|同居家族が受け取れる給付も説明
このコラムではコロナ療養中の保険金請求について解説します。
コロナによる療養期間は最低10日間
2021年8月現在、新型コロナの新規陽性者が1日に1万人以上発生する状態が続いています。実際にコロナに感染して療養を経験した方も多いのではないでしょうか。
コロナに感染した方々はお分かりだと思いますが、コロナは感染すると高熱や倦怠感、せきによる息苦しさや味覚嗅覚障害に悩まされます。軽症でも自宅療養期間、ホテル療養期間が保健所から指示され、最低でも診断から10日間は外出できなくなります。
病院で「陽性ですね」と診断されたらすぐに隔離期間がスタートします。
本人は病院で「10日間は外出しないでください」と指示を受けますが、同居家族はどうなるのでしょうか。
実は濃厚接触者にあたる同居家族は感染者が回復してから、または感染者がホテル療養や入院により自宅を出てから2週間外出できません。(2021年8月14日時点)
コラムの後半では同居家族が受け取れる給付についても触れています。
「コロナはなっても軽症だから大丈夫であろう」と考える方は少なくありません。隔離期間の長さがコロナがインフルエンザなどと異なる点 です。
10日間の療養期間中に請求できる保険金は?
コロナの療養期間は最低10日間です。どれだけ体の調子が良くても10日間は外出できません。
多くの方が気になるのが療養中の保障についてだと思います。
特に有給休暇を使い切っている方は「欠勤になって給与が減ってしまう」と心配されていることでしょう。
コロナの療養中に受け取れる一般的な保険金については公的なものと民間のものがあります。
公的な保険金:傷病手当金
傷病手当金は、健康保険組合に加入している方が受け取れる療養中の保障です。3日以上休養のために会社を休んだら4日目から支給対象になります。
例えばコロナで10日間療養となった場合は、最初の3日間分は出ませんが、4日目から10日目までの7日分は傷病手当金が出るということです。ただし有給休暇などで給与が支給されている場合は傷病手当金の休養日に数えません。給与と傷病手当金の2重払いで得をすることはできないと覚えておきましょう。
受け取れる額は下記の式の通りです。
- 支給開始以前12ヶ月の標準報酬月額÷30✖️2÷3=1日あたりの支給金額
つまり、「月給の約3分の2が支給される」と認識すれば良いでしょう。
受け取れる期間は最長で1年6ヶ月となります。コロナでそこまで長期療養することはないと思いますが、療養が2週間、3週間と長引いても休んだ分受け取れるということです。
ただし傷病手当金は国民健康保険に加入している自営業者やフリーランス、フリーターの方は対象外です。「いつも国民健康保険料を納めているのにひどい」と思う方も少なくないと思います。これがサラリーマンが守られていると言われる所以の1つです。
民間の保険金:入院給付金
多くの医療保険には「入院1日あたり5,000円」といったような入院保障が付いています。コロナで入院した時はもちろん支給対象になります。
コロナの場合は、軽症者でも陽性になった場合は最低10日間の自宅療養またはホテルの宿泊療養が必要になります。この宿泊・自宅療養も入院保険金の対象としている保険会社は多いようです。病院もホテルも空いてないからやむを得ず自宅療養をしている方は多いですが、自宅療養でも保険金が受け取れる可能性が高いというのは朗報だと思います。実際には加入中の保険会社に問い合わせをして確認してみてください。
保険金の請求方法
ここからは保険金の請求方法を解説します。
傷病手当金の請求方法
傷病手当金の申請には健康保険組合所定の書類が必要になります。加入中の健康保険組合に問い合わせをすれば書類を送ってもらえるはずです。ウェブサイトに書類のPDFが格納されている健保組合もあります。
書類の中で最も厄介なのが医師に療養経過について記載してもらうページがあることです。コロナと診断された病院で療養が必要だった理由や症状について記載してもわらなければいけません。通常は病院で書類作成の費用を取られます。なんらかの理由で、病院が書類の記入に協力してくれない場合は、保健所か市区町村の役所で発行してもらえる「宿泊・自宅療養証明書」と療養記録を記した「申立書」などを作成し医師の療養証明の代わりにできる場合もあります。
コロナになったら毎日体温と酸素濃度を測る必要がありますが、その記録は必ず残しておきましょう。傷病手当金の申請に必要になる可能性があります。詳細は健保組合にお確かめください。
民間の保険金の請求方法
民間の入院保険の請求の場合は、基本的に「宿泊・自宅療養証明書」を添付して保険会社に保険金請求をすれば支給されるケースが多くなっています。詳しくは保険会社に問い合わせましょう。傷病手当金の請求よりはシンプルだと思われます。
保険金の請求の留意点
基本的に保険金というものは契約者が保険金の請求をして初めて支給されます。FPを除いては、誰も「保険金請求した方がいいですよ」とは言ってくれません。コロナになったのに保険金請求が漏れている人は少なくないと思います。
傷病手当金も組織がしっかりしていれば社員のために請求を進めてくれる可能性がありますが、会社によっては自身で会社の総務部や人事部に進言しないと単なる欠勤無給扱いになってしまいかねません。
権利は自分でしっかり主張することが大切です。知識が身を守るということです。
コロナのことを考えたら入院保険は必要なのか
ところでコロナで自宅療養、ホテル宿泊療養をした場合に保険金が出るのであれば入院保険は入っておいた方が良いのでしょうか。
実は必ずしもそうは言えません。例えば、入院日額5,000円の保険に毎月3,000円の保険金を支払っている場合のケースを考えてみます。
- 10日の療養で受け取れる入院保険金
10日✖️5,000円=50,000円 - 1年間の支払い保険料
12ヶ月✖️3,000円=36,000円 - 利益:50,000ー36,000=14,000円
もし1年間に療養がなければ36,000円は払い損です。
年に1回コロナになって10日間入院しても14,000円しか儲かっていません。
重要なことは50,000円儲かったのではなく、14,000円しか儲かっていないということです。
1年間の間にコロナになる確率はどんなものでしょうか。
仮に国民の100万人が年間にコロナになったとしても日本の人口は1億人2,000万人以上いるわけですから、コロナに罹患する確率は1%程度です。コロナになること自体がアンラッキーなことであり、保険は不幸な方を救うためにある商品であるにもかかわらず、コロナになっても大して救われていないということです。
確率論でいえば保険料を払い損している人の方が、わずかな得(例:上記の14,000円)をしている人よりはるかに多いのです。
ちなみにコロナは後遺症が大変な病気なのですが、後遺症の治療は基本的に通院で行いますので入院保険の対象外です。通院保障が適用されない限りは「せっかく保険料を払ったきたのに、苦しい後遺症の治療は助けてくれないのか」ということも起きえます。コロナになって入院保険金をもらっても喜んでいては、重要なことを見落としているかもしれません。
それにしても1年間に10日も入院してやっと14,000円得をするために、36,000円を振り込み続けるのはずいぶん勝率の悪い賭けをしているようです。
仮に大病をして100日程度入院することになったとしても、5,000円✖️100日=50万円の支給です。
100日の入院なんてなかなかありません。
もし周りにがんになったことがある方がいたら聞いてみてください。そんなに長期入院していないはずです。
私の身内でステージ4(かなり進行している)のがん治療をした者がいますが、入院日数は60日程度でした。これでも平均的な入院日数の2〜3倍の長期入院です。それでも保険料に保険金が負けています。
さらに困ったことに保険によっては最長保険金支払い日数を60日などと限定している場合があり、不幸中の不幸である超長期入院には入院保険が対応していないケースも多いです。「肝心な時に助けてくれないのか。」という感じです。
コロナが身近になった今だからこそ、保険についてよく考え直してください。肝心な時に助けてくれないかもしれない保険にお金を払うなら、資産形成をしておいた方がオールマイティに何にでもつかえます。
あなたの保険は、本当にあなたを守ってくれますか?
自分で健康や感染対策を気遣い、資産形成を自助努力で行うという考え方は最近一般的になっています。保険はコロナのように頻繁に起きる小難のために入るのではなく、「死亡高度障害」のような大難のために最低限入っておくのが鉄則です。
濃厚接触者である同居家族が受け取れる給付金
上記の傷病手当金、民間保険の入院保険はあくまでも感染者本人が受け取れるお金です。
濃厚接触者に該当する同居家族で、陰性の方々は「コロナにかかってない元気な人」なわけですから傷病手当て金や入院保険金の受け取り対象外です。
正社員であれば、コロナを原因とした休業であれば自宅隔離期間中の給与を会社が支払ってくれる可能性はありますが、現場仕事で時給、日給制の方々は、働けない分収入が減ってしまいます。
このように隔離で勤務日数が減ってしまった方が受け取れる給付金があります。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
この制度は、新型コロナや蔓延防止措置の影響で休業させられ、休業手当を受け取れなかった労働者が対象の制度です。
よくメディアで耳にする「雇用調整助成金」とは異なる制度です。
<対象者>
2020年10月1日〜2021年11月30日までに事業主が休業させた中小企業の労働者、および大企業のシフト制の労働者で2020年4月1日〜6月30日、2021年1月8日〜9月30日の期間休まされて賃金を受け取れなかった労働者です。
申請日が決まっているのですぐに申請してください。
出典:厚生労働省ウェブサイト
[https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000811764.pdf]
濃厚接触者は会社にきたらまずいわけですから通常は事業主が休むよう指示をしますので、本給付制度に該当する可能性は高いです。(最終判断は本制度のコールセンターに問い合わせください)
一方、テレワークで自宅隔離になっている陰性の濃厚接触者は、働いて給与が出ているはずなので給付金の対象外です。
<支給金額>
以下の通りです。
休業前の1日当たり平均賃金✖️80%✖️(各月の日数(30日or31日)ー就労したまたは労働者の事情で休んだ日数)
1日あたりの支給額上限:9,900円
職場(対象の飲食店等)によっては上限11,000円になる場合あり
<申請方法>
以下のものを厚労省の本制度の給付金担当宛に送ります。
(1)支給申請書
(2)支給要件確認書(基本的に労働者と事業主で協力して作成)
(3)本人確認書類(免許証の写しなど)
(4)振込先口座確認書類
(5)休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)
(6)令和2年4月~9月の休業について申請する場合は、令和2年10月30日公表のリーフレット の対象となる旨の疎明書及び過去の就業実態が確認できる給与明細等
(7)地域特例対象確認書書(令和3年5月~9月の休業について、地域特例を受ける場合)
なお、(2)の書類の申請には事業主の協力が必要です。
協力をお願いする時には、この制度は国の制度なので会社の資金面の負担はないことをまず伝えると気持ちよく協力してもらえるはずです。(会社が何か払わされるのかと警戒する事業主もいます)
支給要件確認書の作成に事業主のご協力が得られない場合、その旨を支給要件確認書に書くことで給付金の申請はできます。しかし、そうすると事業主にヒアリングが行く可能性が高くなりますので、協力してもらった方が事業主にとっても良いでしょう。
本制度の詳しい内容は下記、厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。
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