ミスマッチを防止する生命保険の考え方〜不足額(必要保障額)で考える〜

家族もちのお父様、

「生命保険は入った方がいいのかな?」

「生命保険は無駄だと聞いたけど、、」

このように思われる方は多いのではないでしょうか。

その答えは

「不足金額」

で決まります。

この章では、保険のミスマッチを防止する

リスクマネジメントの思考法

をお伝えします。

保険は「不足額」で考える

はじめに、保険に入る前に確認しておくべきことがあります。

それは、

家族構成

です。

保険の基本は

「あなたにもしものことがあったら家族は生きていけますか?

家族は今の生活を維持できますか?」

という質問から始まります。

仮に、ご主人の年収が600万円、奥様がパートタイムという場合、

ご主人が亡くなったら、わずかな遺族年金だけでは足りず、

奥様はフルタイムで働かなければならないかもしれません。

今とは生活がガラッと変わります。

「自分が死んでも、妻と子どもには今の生活を続けて欲しい。」

この想いが、生命保険の基礎となります。

 

人生には、上り坂、下り坂、「まさか」があるといいます。

その「まさか」が起きた時にお金の面で家族の人生が崩壊しないようにするために、生命保険があります。

今回は、シンプルなケーススタディを通して、家族を守る生命保険の考え方をお話します。

ケーススタディ 3人家族の悲劇

まず、家族構成は下記のように設定します。

突然ですが、

この家族のご主人が急死したとします。

そう、「まさか」の悲劇です。

所帯持ちのお父さんは、このような悲劇を絶えず想定しておかなければなりません。

それでは、このような悲劇が起きた場合のお金の不足額をみていきましょう。

ご主人が突然亡くなった後の、家計の不足額を想定する

ここではお話をシンプルにするために、お子様が大学を卒業するまでの期間を想定します。

 

支出額
お子様が大学を卒業するまでの22年間の支出
月の支出を30万円、年間の支出額を360万円とした場合
生活費:360万円×22年=7,920万円
高校までは公立、大学は私立の場合の教育費を1,000万円と見積もった場合
学費:1,000万円
合計:約9,000万円

そして、この支出額に対して保険以外の収入はいくら想定できるでしょう?

収入額
遺族年金をざっくり200万円とします。
200万円×22年=4,400万円

 

22年間の不足額
22年間の収支の額
収入ー支出不足額
4,400万円ー9,000万円=▲4,600万円

このように計算することで、

「おれが死んだら、死亡保障は4,600万円くらい必要だな〜」

と考える事ができるのです。

ここで注意したい事は、不足額は変化するということです。

例えば、ご主人が今突然亡くなりはせず、10年後に亡くなったとします。

そうすると、不足金額は今、突然死するのと比較すると少なくて済みます。

ご主人が10年後に亡くなった場合の収支を計算する

例えば、ご主人が今突然亡くなるのではなく、10年後に亡くなる場合、
お子様が大学を卒業するまでの年数はそこから12年となります。
(22年ー10年)

そうすると先ほどの計算式を12年で計算しなおすと下記のようになります。

支出額
お子様が大学を卒業するまでの12年間の支出
月の支出を30万円、年間の支出額を360万円とした場合
生活費:360万円×12年=4,320万円
進学は高校までは公立、大学は私立の場合:教育費を1,000万円と想定
(小学生高学年以降に教育費はかさむので、ここでは減額せずに計算)
教育費:1,000万円
合計:約5,320万円

収入額
遺族年金をざっくり200万円とします。
200万円×12年=2,400万円

12年間の不足額
12年間の収支の額
収入ー支出不足額
2,400万円ー5,320万円=▲2,920万円

今ご主人が亡くなった場合の不足額:4,600万円
10年後ご主人が亡くなった場合の不足額:2,930万円

そうです。

必要補償額は、時間の経過と共に減っていくのです。

これを図にするとこのようになります。

図:時間の経過と共に、不足額(必要補償額)が減っていくイメージ

 

このように、不足額を合計額にして

「今僕が死んだらトータルでいくら必要なんだろう?」

「頑張って生きれば必要額は減っていくんだ。」

と思考することが、保険を考える上での基礎になります。

ここでは、学費や遺族年金をかなりざっくりで計算していますし、奥様が専業主婦で無収入というケースで試算を行っています。具体的には、ご主人の勤務期間、現在の給与水準、奥様の仕事状況によって不足金額は異なります。

保険屋さんに行く前にこのあたりを整理しておいた方が良いでしょう。

必要な死亡保障額がわかれば、上記の三角形を埋めるための逓減定期保険収入保障保険を検討し、プラスアルファで学資保険医療保険などを肉付けすれば良いのです。

こうすれば、「立て板に水の営業トークに押されていつの間にか不要な保険に入ってしまった。」というケースを避けられます。

死亡保障以外の保障を考える

ここまでは、死亡保障について考えてきました。

プラスアルファとして考える肉付けの保障についても基本的な考え方は同じです。
死亡には至らないまでも、「こんな悲劇が起きたらいくら必要だろう?」と考えれば良いわけです。

  • 闘病が続いて仕事ができなくなった場合の収入→就業不能保障
  • 病気で先進医療の手術を受けるために入院することになった→医療保障
  • 介護が始まりで毎月介護費用がかかることになった→介護保障
  • 人生100年時代の長生きリスク→個人年金

 

次に、保険に入る際にやってしまいがちなことを記載します。

保険に入る時のやってはいけない

家族で話し合わない

今回のケースではお子様が大学を卒業する22年間の事しか計算していません。

本来はその後の奥様のライフプランも考慮に入れるべきです。

このあたりは、奥様とよく話し合わないと結論は出ません。

案外、奥様は「あなたが死んだら私働くから気にしないで。遺族年金あれば十分だし、再婚するかもしれないし!」とおっしゃる人もいれば、「私あなたがいなかったらどう生きていけばいいの?」とおっしゃる方もいるでしょう。

また、2人目、3人目のお子様が誕生した際には保障額を多めに見積もる必要があります。

そのような、ライフプランを良く話し合った上で、不足金額の計算はすべきです。

ライフプランが決まらないのであれば、ケーススタディのように

「とりあえず今の子供が独立するまでの時期は保険に入っておこうか。」

と必要最低限に抑えることが一案です。

勧められままに保険に加入する

保険商品は魅力的に作られています。
しかし、ご自身が必要でもない保険に入っては意味がありません。

しっかりと、「何の保障に入るのか?」と考えてから保険会社の人と話をするべきです。

最近では、保険の営業マンは老後の資産形成のための積立型の投資型保険を精力的に販売しています。

これを「老後の長生きリスク」に備えるものとして、公的年金に上乗せするつもりで加入するのであれば、問題ありません。(その場合、NISA、イデコも合わせて検討する必要があります。)

しかし、これをご主人が突然死した場合の死亡保障とするのであれば、それは危険です。
なぜなら、投資型保険の保険金額は、掛け捨て型の保険に比べ、死亡保障の金額がとても少ないからです。

例えば、掛け捨て型の保険であれば、数千円程度で数千万円死亡保障が掛けられます。
しかし、投資型の保険では、数万円の保険料で、死亡保障が数百万円程度にしかなりません。
払った保険料の多くが、積み立てに回ってしまっているので保障額が少ないのです。

保険の営業マンは、「死亡保障」と「老後の備え」をゴッチャにして話し、

「これに入っておけば、生きていたら貰えるし、死んでも安心です。」

とおっしゃる方も多く見受けられます。

ご自身で必要補償額を想定しないでこのような保険に加入すると、保障としては不十分、投資としても利回り不足というどっちつかずの結果になる場合があります。

数千万円クラスの死亡保障を得るのであれば、保険は「掛け捨て」に入る覚悟が必要です。

社会保険を考慮しない

社会保険とは、簡単にいうとセーフティネットのことです。
具体的には、公的年金健康保険、雇用保険労災保険などのことです。

先ほどのケーススタディでは公的年金の1つである「遺族年金」が登場しました。

遺族年金とは、厚生年金に加入している会社員が亡くなった際に、遺族(残された家族)に一定金額の年金が支払われる制度です。ご主人が亡くなっても、家族が文無し生活にならないように作られたセーフティネットです。

生命保険の死亡保障の話をする時に、「遺族年金」の話をしない保険マンがいたら、その人からは保険に入らない方が良いでしょう。
遺族年金の計算を考慮しないで必要補償額を計算すると、保障額が過大になってしまい、「保険の入りすぎ」になってしまうからです。無駄が生じる可能性があるということです。

社会保険は「社会保険労務士」という資格があるくらいですから、かなり奥が深いです。全てを理解することは難しいかもしれません。ここでは、一般的な会社員が加入している健康保険組合の代表的な制度を取り上げます。

高額療養費制度
高額療養費制度を利用すれば、月に数十万円相当以上の医療費がかかった場合、数万円の自己負担額をのぞいて大半の医療費は戻ってきます。

参考)協会けんぽ 高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費

傷病手当金
病気や怪我で仕事を長期に休んだ場合、最大で1年6ヶ月間、休業中の収入が補助されます。

参考)協会けんぽ 傷病手当金

この傷病手当金は、もちろんガンなどの闘病だけでなく、うつ病などの精神疾患による休業に対しても支払われるケースがあるようです。(具体的にはご自身が加入している健康保険組合にお問い合わせください。)

ちなみに、自営業者が加入されている「国民健康保険」にはこの傷病手当金はありません。
就業不能についてご心配な方は、就業不能保険などで備える必要があります。

 

まとめると、民間の保険に入る前に、「この保障、社会保険で1部カバーできないだろうか?」という考え方は、持っておいた方が良いということです。

 

冷静に考えない

保険のことを考えていると、「こんなことが起きたらどうしよう。あんなことも気になるぞ?」と不安になるものです。

これでは、保険の入りすぎに繋がってしまいます。

例えば、「働けなくなった時のために就業不能保険にたくさん入っておこう」

という思考に至る方は多いように感じます。

 

こういう方は、「生きているならなんとか働けるさ。」という心の持ちようが重要になります。

例えば、
「ガンになって働けなくなったらどうしよう」という場合。

確かにガンになって入退院を繰り返す可能性はあります。

しかし、会社員であれば先述の傷病手当金が最長で1年6ヶ月間支給されます。

医療費も高額療養費制度と民間の医療保険とがん保険を併用すれば、よほどのことがない限り、お金の面で闘病を諦める必要はないと考えられます。(先進医療特約を使えば、健康保険適用外の高額医療にも対応できる可能性があります)

闘病を乗り越え、復帰し仕事さえすればまたお金は稼げます。

ちなみに、死には至らなくても働くことが困難になるほどの重度の障害は「高度障害」と認定され、民間保険では死亡高度障害の保険金、公的年金では障害年金が受け取れます。

例:両目失明、言葉を失う、両足または両手の切断など

両目がなくても、言葉が話せればできる仕事はあるかもしれません。
今の時代、両足がなくてもできる仕事は山ほどあります。

生きていれば、家族を守ることはできるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、一番備えなければならないことは、「死亡保障」だと言えます。

まとめ

ここまでみてきたように、保険は家族が増えた瞬間がもっとも必要な時期であり、子供成長などの時間の経過と共に減らしていくものだということです。

また、住宅ローンを組んだ時には、「団体信用生命保険」という保険に加入することになるので、保障がダブる可能性があります。無駄になった保険は見直しも必要になります。

保険を検討する際は、まず

「こんなこと起きたらいくら必要だろう?」

と考え、

「こんな金額自分では、準備できてないぞ」

と思うことに保険で保障を備えていく、という順序を守って下さい。

くれぐれも、なんとなく不安だから保険に入っておこう、
付き合いで入っておこう、

というのは無駄な保険の入り方に繋がってしまう可能性が高くなりますので、
ご注意下さい。

具体的なご相談はお問い合わせフォームにてお問い合わせ下さい。

私は、保険の販売員ではありませんので、中立的な立場でご相談に乗らせて頂きます。

 

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