子供に教えたい金融教育|お金にまつわる「やってはいけないこと」とは?
子供にお金を教えるときに、もっとも大事なことは、
「やってはいけないこと」を教えることです。
この記事では、子供たちに教えておきたいお金にまつわる「やってはいけない」を
解説します。大人にとっても良い復習になるでしょう。
お金を借りてはいけない
子供たちにまずいいたいことは、「絶対に人からお金を借りてはいけない」ということです。理由は、自分が苦しむことになるからです。借金で苦しむ事柄は下記の通りです。
- 人間関係が崩壊する
- 貸してくれた人より下の立場になる
セミナーなどで子供たちに「友達にお金を貸して、返してくれなかったら、その友達と一緒に遊べる?」と聞いたら、ほとんどの子供は「もう遊べない」と答えます。お金の貸し借りは友情を壊します。
お金を借りるのであれば、友達からではなく、金融機関から借りるべきです。ただ、それは住宅ローンや奨学金などの必要最低限のものに限らなければいけません。消費者金融に手を出すのはNGです。できれば車もローンではなく、キャッシュで買うのが理想です。金融機関から借りた場合は、下記のような苦しみがあるからです。
- 返さなければならないプレッシャーに苦しむ
- 金利で借金が膨らむ
- 最悪の場合破産する
借金をすると毎月の支払いに苦しむことは、奨学金や住宅ローンを抱えている方はご存じでしょう。ただ、これらのローンは計画的に借りれば、人生を狂わせるものではありません。学びも住宅も「資産」になりますし、これらのローンは低金利でかつ、比較的借り手に優しく作られているからです。
しかし、消費のために借金をするのは恐ろしいことです。消費とは資産にならないものや、使ったらなくなるものにお金を使うことです。
例えば、3%の金利で300万円の車を買った場合、返済期間を7年にすると支払い利息は約32万円になります。できれば車はキャッシュで買いたいところです。
食品や日用品などをクレジットカードで買うのも本当は✖️です。資産にならないものだからです。ポイントが貯まるというメリットはありますが、クレジットカードは預金残高を気にしないで使えてしまうので、しっかり管理しないとどんどん消費量が増えていきます。収入が高い方の場合は、気にせずカードを使ってもなんとかなってしまっているので、これが怖いところです。クレジットカードと使うのであれば、固定費に限定するか、利用金額をこまめにチェックするなどの工夫が必要です。
実は、全ての借金は支払いが遅れると、遅延損害金がかかります。低金利のローンでも、遅延損害金の金利は14%などにジャンプアップします。クレジットカードは毎月支払いができていれば、大抵無金利なので、皆気にせず使っていますが(私も多少クレジットカードは利用します)、実は支払いが遅れると容赦ない金利がかかるというトラップ付きの商品であることは忘れてはいけません。そして、ローンが返せなくなった先には自己破産が待ち受けています。
現代はキャッシュレス時代であり、クレジット決済がかなり主流になっています。今後の時代を生きる子供たちには、身近な借金に罠が潜んでいることは教えたいものです。
物を借りるのはいいの?
「借金の怖さはわかったけど、賃貸するなら部屋を借りるわけだし、車を持たないならレンタカーをするのはいいの?」という疑問がわきたちます。
賃貸か持ち家か
実は賃貸暮らしか家を買うかの判断は、悩ましいところです。部屋を借り続けるのであれば、賃料が発生するので毎月支払いが生じます。やっていることは住宅ローンの返済と大して変わりません。老後の年金暮らしの時に、家をもっていないとずっと賃料の支払いにが続きます。
若い時にせっせと住宅ローンを返し、老後には家はある、という状態を作るのは1つのライフプランとして正しいです。
しかし、賃貸のメリットは、「引っ越せる」ことです。
賃料が高ければ、安い物件に引っ越せますし、都心から地方、地方から都心に引っ越すのも自由です。
「高齢になるとオーナーが嫌がるので部屋を借りれなくなる」という話はありますが、「いやいや、日本は空家が増えているんだから、借り手優位になるでしょう」とタカをくくっている人もいます。しかし、空家が賃貸に出されるとは限りません。賃貸派の方は、「いつでもキャッシュで家を買える」くらいの資産形成が大切になります。
レンタカーはいいの?
レンタカーやカーシェアリングは非常に合理的です。なぜなら「毎月の返済に追われる」ということがありません。一時的に物を借りるだけです。ただ、物を借りるときには気をつけなければならないことがあります。
物を借りるときに気をつけたいこと
ものを借りるときに気を付けるべきことは「大切に扱う」ことです。借りたものはみんなで使うものだから、という道徳精神も大事ですが、もっと現実的な話としてわかりやすいのは、「壊したら弁償しなければならない」からです。
車を借り手ぶつけてしまったら、何十万円もの修理代を払わなければいけません。
これは、友人から物を借りるときもいっしょです。子供の視点でいうなら、友達にゲームを借りてはいけません。壊したりなくしたりしたら友達を失いますし、弁償代もかかるからです。
ちなみに、借りたものを壊したときのために損害保険があります。レンタルをするときは、保険の有無を確認しましょう。自ら賠償責任保険に加入するのも一案です。知識は身を守ります。
自分の身を守るために
私たち人間は、生きていく上で多かれ少なかれ、借金をしたり物を借りたりしなくてはいけません。重要なことは、身を守る準備をしておくことです。
ライフプラン・キャッシュフロー表を作成する
先述のとおり、すべての借金が悪と言うわけではありません。 例えば学生が借りる奨学金の場合、病気で働けなくなった時や会社が倒産した時には借入金の返還を待ってくれる制度があります。 奨学金は営利目的の商品ではありませんので、 金利は世にあるローン商品の中で最低水準といって過言ではありません。 日本学生支援機構が提供する第一種奨学金は無金利です。
住宅ローンも 現在は低金利の商品が多く、死亡だけでなく病気の場合を保障する団体信用生命保険もあり、借り手を優遇した商品が多く見受けられます。 ちなみに住宅ローンも収入状況が急激に変わった場合にはローンの返済の一部を待ってくれる銀行があります。
奨学金も住宅ローンも自己実現のためには必要になる場合があります。 これらの融資制度を利用する場合には、 ライフプランの作成が欠かせません。
要するに無理をしなくても返せる金額であれば問題ないわけです。
奨学金を借りる場合には、しっかり働いて返せる金額であれば、その先の人生を鑑みて、投資と割り切って借りるのは1つの考え方です。大学に行って飲み会ばかりをしていては、奨学金を借りた意味がありません。インターンシップや学生起業などにもチャレンジし、貪欲に良い仕事に就くことを目指せば、結果的に借り入れ額以上の収穫があるはずです。
住宅ローンを組む場合にはキャッシュフロー表の作成が欠かせません。住宅ローンは固定費としてのしかかりますので、「返していけるのか?」という視点でしっかり計画を立てる必要があります。子供の教育費がかかるとき、もしかしたら転職をするようなとき、病気をして今ほどは頑張れなくなってしまうときでも返していける金額であれば、住宅ローンを組むのは問題ありません。賃貸でもお金はかかるのですから。
ただ、新築住宅を買ったときは、その時が満足度のピークであり、段々と建物の老朽化とローンの支払いが追いかけてくることは忘れてはいけません。
例えば月25万円の返済額が、新築時であれば納得の価格でも、20年後には割の合わない金額になっているかもしれません。もちろん綺麗に住めば資産価値が維持できる点も大切な観点です。
子供たちに借金に追われる人生は歩ませたくない
私は思います。奨学金を借りて大学に行けるなら借りたほうが良いと。
奨学金の金額は数百万円に上り、「若い人に背負わせるには、酷なのでは?」と考える人はいます。確かにそれはいう通りです。しかし、生涯年収で考えれば、奨学金の金額は微々たるものです。仮に大学に行ったことで年収が100万円上がるのであれば、数年でペイできます。目先の借金の怖さに慎重になりすぎるのは可能性を潰すことになります。
住宅ローンのように追われる借金はストレスになります。「こんな高額な住宅ローンがあるんじゃ転職にもチャレンジできない」ということでは住宅が足枷になります。借金は、人生の選択肢を狭めない程度の金額に抑える必要があります。
最近メディアを見ると「どんどん若い人は借金をしなさい」という人がいますが、これはFPからいわせれば完全に極論です。麻痺した自分の感覚を善良な若者に吹き込まないでいただきたい、と思います。
子供たちには、借金の怖さをコンコンと伝えてください。
金融リテラシーがあれば、ずば抜けた高収入がなくても、幸せな人生が送れます。
子供たちには、世にある借金の罠にはまらないでほしいです。